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Long Melford (ロング・メルフォード)の村

前回までのKentwell Hallの続きで、そのKentwell Hallの建つサフォーク州ロング・メルフォードの村のイメージ。

以前にも書いたが、この村には鉄道のアクセスがない。その昔(19世紀中頃)に鉄道が導入されたのだが、1967年に廃線となっている。 
それ以降は4kmほど離れたSudburyが最寄の駅。このSudburyにはいっているラインも、ロンドンからIpswich(イプスウィッチ)、Colchester(コルチェスター)の街を結ぶメインラインから、Marks Tey(マークスティ)で乗り換える、単線鉄道。ロンドン中心のLiverpool Street(リヴァプール・ストリート)駅から、一時間郊外へ出ただけなのだが、のどかなカントリーサイドの旅行気分が味わえる。
この終点のSudburyから、バスかタクシーで<詳しくはこの標本箱の最後を参照>ロング・メルフォードの村に入る。
イギリスのカントリーサイドはたいていそうなのだが、ノスタルジックでチャーミングな町や村には鉄道が入っていない。逆説で言うと・・・、鉄道駅ができる>ショッピング街ができる>スーパーやチェーンストアが集まる>買い物客の車で渋滞する>一方通行の車優先道路プランが導入される>古い町の魅力が損なわれる、という公式が1970年代以来成り立っている。
なので、ロング・メルフォードは、鉄道駅を失った代わりに、イギリスらしいチャーミングな村の面影を残すことができた、ともいえる。
歴史的には、この村では農業以外にもウール織が盛んで、中世末期の小作農民の反乱が淘汰された後には、自営農民だけが残ったため、チューダー期以降は「裕福な村」のイメージが定着。村の中心を走る道は、Hall Streetとよばれるが、これは、Hallと名のつく「お屋敷」が、大小いくつも並び立つ「屋敷通り」ということ。
いまでも、その面影は充分残されていて、おっとりとした優雅な村のたたずまい。
Long Melford
Hall Streetの北のはずれのVillage Green。 かなたに見える教会は、
Holy Trinity Long Melford Church(聖三位一体ロングメルフォード教会)。

Long Melford
訪れた日は、ロイヤル・ウェディングの祭日だったので、
お店はどこもお祭り気分のディスプレイ。

Long Melford
久々の・・・、イギリスが最もハッピーな日。

Holy Trinity Long Melford Church
最初の写真で遠景に見えていた、聖三位一体ロングメルフォード教会
15世紀後半建造の地区教会・・・なのだが、
なにしろ当時イーストアングリア地方で一番豊かな村だけあって、そのスケールは大聖堂並み。

Holy Trinity Long Melford Church
10時~6時だと公開されているようだが、我々が通りかかったのはKentwell Hallのイヴェントの後。
日は長いが、これでも7時頃。残念ながら中を見ることができなかった。

Holy Trinity Long Melford Church
が、その隣に併設されたチャペルの方はまだ開いていたので、中を拝見。

Holy Trinity Long Melford Church
ステンドグラスは、建造当初のステンドグラスで現存する物を、繋ぎ合わせたコラージュ風。

Long Melford
Kentwell Hall側の敷地から見た教会。
この先にパブリック・フットパス(一般人が歩けるように解放されている小道)があって、
そこを歩いて教会に向かった。

Long Melford
パブリック・フットパスを行く。
こんな風にたいていはただの草原。小さなゲートに「パブリック・フットパス」の矢印がついているだけ。
なんとなく人に踏みしめられた小道ができているので、それに沿っていく。

Long Melford
なだらかな草原。

Long Melford
フットパス教会側の出口にはStile(スタイル)
というのは、こんな風な「またぎ式ゲート」。一般人が出入り出来て、農地の家畜達が外に出ないように、という設計。
これがついていて、その先にあるような黄色い矢印がついていれば、もう間違いなくパブリックフットパス。通ってかまわない。
しかし、その道がどれぐらい歩きやすいように整備されているかは保証の限りではない。背よりも高いボーボーに茂った雑草の中で道を見失ったり・・・なんてこともざらにある。反対側のゲートがスタイルではなくて・・・閉ざされていて、そのゲートをよじ登って越えたり、などということもありえる。
まあ、ここの場合よく手入れされた開けた草原だったので快適この上なし。
Long Melford
教会墓地から、また別の隣のチューダー期の建物が見える。

Long Melford
これもHall Streetに面した「お屋敷」。1610年建造がポーチに彫りこまれている。

Long Melford
Village Greenの前でジャギュア様を見つけた^^。

Long Melford
街の中の建物。「鉄道旅客保険」という表記から、
この村にかつては、鉄道が走っていたのだと知る。

Long Melford
街の建物のドア。真ん中のドアノッカーのエリザベス1世、
こ・・・怖そうなおばさんだが、本当に当時(16世紀)のものかどうかは知らない。

Long Melford
我々の泊まったGeorge&Dragon。田舎にありがちの、パブ兼ビストロ兼B&B。
騒音が苦手なので、このタイプ(パブ宿)には通常泊まらないのだが、
Net予約できるこの村の宿はすべてこのタイプ。
車道にも面しているけど、耳栓持参したので、とてもよく眠れた(笑)。

Long Melford
アンティークセンター2件。どちらも家具が中心。
80年代のアンティーク全盛期に比べて、この村のアンティーク業者の数もずっと減ってしまったとか。

Long Melford
2日目の朝、アンティークセンターを見て回った後、
道に面したコテージの前庭の写真を撮っていたら・・・、

Long Melford
その家の、気のいいおばあちゃんに招き入れられて、裏庭も拝見。
裏庭のフェンスの外は大草原。「昔はあそこに駅があったのよ。」

Long Melford
おばあちゃんちのもう一匹の子。「おばちゃん、誰?」

Melford Hall - National trust
これは、Kentwell Hallのほぼ向かいに建つMelford Hall。ここは現在ナショナルトラストの管理。
こんな大屋敷が向かい合わせで建っているような村は、まず見たことがない・・・。
おばあちゃんと別れた後、ここへ向かった、が、この話は次回の標本箱で。

Sudbury
これは、Long Melfordではないが、Sudburyの駅。
単線に一時間一本のローカル列車が入ってくる。とてもレトロ・・・。

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ロング・メルフォード村の地図。


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なので、次回はナショナルトラストのMelford Hallのイメージを予定。ちょっと秋冬コレクションの追い込みなので、更新遅れ気味かも・・・。

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