Pages

Lincoln's Inn (リンカーンズ・イン)-1-

今回は、Lincoln's Inn(リンカーンズ法曹院)の敷地内のイメージ。
なぜまた「宿屋」と同じ「Inn」という語を法律関係組織使うのかと、不思議に思うのだけれど、Innという語の意味合いに「大きな建物に、さまざまな人々を収容・接待する施設」という、「Hospital(病院)」の語源に近い意味合いがあるそうで、地方から法廷に集まる人々や、法律家見習いを収容する施設、という意味合いなのだそう。 なるほどね・・・。

ここは週末以外は、誰でも入って見て回ることができる。ただし、建物の中には入れない。
New Chapelは12時から2時半の間、内部も公開されているので、入って見てみることができる。ときおり、管弦楽やピアノの、ランチタイム・コンサートが催されていたりする。<スケジュールはこのページに
一部の建物はガイド・ツアーで公開されている<案内はこのページ>。
15人集まれば、ツアーを予約できるのだけれど(ミニマム・チャージ有り)、少人数の場合は、月に一度第一金曜日の2:00PMに、メインゲート集合の、ブロンズ・ツアー(約1時間、料金一人£5)なら、予約もなしでその時間にメインゲートに行くと参加できる。私はこれに参加して、Old HallとNew (Great)Hallを見て回った。


Lincoln's Inn - Gate House
ブロンズ・ツアーの集合場所メインゲートを敷地内から見たところ。
なんとなく人が集まってくるので、解るはず。私の行ったときは20人以上いた。

Lincoln's Inn - New Square
敷地内のNew Square (ニュー・スクエア)の真ん中は、噴水のある庭になっている。
後ろに見える塔はRoyal Court of Justice(王立裁判所)。

Lincoln's Inn
その北側にも、グリーン。
この眺めで、ここが歴史ものの、映画やTV番組の撮影によく使われる・・・というのが理解できる。

Lincoln's Inn - Great Hall (New Hall)
New (Great) Hallと図書館を中庭から。
とても・・・とてもチューダー様式。ハンプトンコート・パレスとよく似ている・・・。

Lincoln's Inn - Great Hall (New Hall)
のだけど、この1843の年号で「え?」と思って調べて、19世紀のチューダー・リバイバル様式だと解った。
ちなみにこのP Hというのは、建築家のPhilip Hardwick(フィリップ・ハードウィック)のイニシャルで、
すでに「大御所」の建築家だったから、こんなこともできた・・・ということ。

Lincoln's Inn - Old Hall and Chapel
その、ニュー(グレート)ホール内のイメージは次回に回して・・・、
まずは最初に向かったチャペルと、オールド・ホールのイメージから。
ここで右手に見えているのがチャペル、
そのまた右に(ここでは写ってないけれど)オールド・ホールが繋がっている。
現在の建物は、17世紀のパラディオ様式の建築家
Inigo Jones(イニゴー・ジョーンズ)の設計が元になっている。

Lincoln's Inn Chapel - "Crypt" on ground level
ここの建物の特徴的なのが、通常の教会やチャペルならば、地下に設けられるCrypt(クリプト)が、
グラウンド・レベルに作られていること。
ここもまた、集会場として(運動場としても・・・)使われていたそう。

Lincoln's Inn - Chapel
そして、メンバーはここに葬られもする。
ツアーの時に聞いた話では、その昔貧しい家庭の新生児や私生児が、よくここに「捨て子」されたそう。
ここで「拾われた」子供は、男女問わず、この法曹院で育てられ、教育を受け、
通常は使用人として、ここや他の機関に雇われる。
優秀な男の子には、法律家への道も開かれていたそうで、それもあって・・・
「この子の、運がよければ・・・」というので、捨て子が絶えなかったそうだ。
で、その子達には、皆「リンカーン」という姓が与えられたのだとか。
えーっと、どこかの大統領にもそんな名前の方いましたね。

Lincoln's Inn Chapel
クリプトがグラウンド・レベルなので、チャペルへは、階段を上がる。

Lincoln's Inn Chapel
チャペルの入り口を入ったところ。

Lincoln's Inn Chapel
座席が「ボックス」式に入り口が付いている。
こういうのはPew Box(ピュー・ボックス)と呼ばれ、18世紀以前の教会によく見られる。
まさしく「ボックス席」で、地区教会の場合は、ある家族が「そのボックス席を買っている」ということで、
入り口に鍵がかけられる。
ここの場合家族ではなく、法曹院のメンバーのグループごとに場所が決まっていたのだろうけれど。
聞いた話では、20世紀までこの座席は女人禁制で、女性は正面ベンチにしか座れなかったそう。
女性差別・・・というよりは、19世紀のワイヤー入りスカートでは、
このピュー・ボックスの入り口を通れなかったため。
現在「肥満者禁制」・・・なのかどうかは、尋ねなかったが(笑)。

Lincoln's Inn Chapel - stained glass
ステンドグラス・・・、

Lincoln's Inn Chapel - stained glass
は、たいてい評議会メンバー(Bencher=ベンチャーと呼ばれる)の紋章。
現在でもベンチャーに承認された法律家は、紋章を(持っていなければ)作る必要がある。
イギリスにはOfficer of arms(紋章官)という役職があって、
紋章が重複・混乱・誤用されないように管理している。
とはいうものの、新たに作られる紋章は、間違いさえなければいいわけで、
本人の趣味、名前からの連想・・・など、かなり自由に作られるもののよう。
私の聞き間違いでなければ、「サーフ・ボード」を紋章に作ってもらったベンチャーもいるとか。

Lincoln's Inn Chapel
パイプオルガンの見える、入り口側のゴシック窓。

Lincoln's Inn Chapel  - angel
ビームの下の天使。

そして・・・、次にオールド・ホールに向かったのだが、相変わらず外観を撮っていない・・・。

Lincoln's Inn - Old Hall
なので、いきなり中のイメージ。遅くとも15世紀後半には建造されていたものと考えられている。
17世紀、18世紀と何度か改装が繰り返されていたのだが、19世紀初頭に大改装された。
その時に、オリジナルの木造天井に漆喰を塗り固めて、装飾を施したのだが、これが大間違い。
古い木造の天井梁が漆喰の重量に耐え切れず、著しくゆがみ、倒壊の危険すらでてきた。
そのため1924-27年にかけて、ホール全体を解体し、改めて建造しなおす大改修が施された。
その時に、漆喰はすべて取り除かれ、以前の様式に復旧された。

Lincoln's Inn - Old Hall ceilings
その、復旧された木造天井。

Lincoln's Inn - Old Hall
窓はここも紋章のステンドグラス。

Lincoln's Inn - Old Hall
壁の肖像画は、歴代の筆頭ベンチャー。

Paul before Felix - by Hogarth
入り口の上にかかる絵画は、ホガースの、「ユダヤ総督フェリックスの前の、パウロ」。
ユダヤ人の告発で逮捕された(というか・・・ユダヤ人に暗殺されそうになった所を、
ローマ軍に保護されたというか・・・)パウロが、弁明をするシーン。
この絵を元にした、エッチングがテート・ブリテンに収められている。

Lincoln's Inn - Old Hall
最後は、これまたビームの下の天使。 これは古そう・・・。


リンカーンズ・イン 地図:

View Larger Map


次回は、New (Great)Hallのイメージを中心に。

No comments:

Post a Comment

.